ハンドルネーム「べに」さんへ [「うつ病」なる病気]

とあるエントリーに対するコメントがあった。

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タイトル この拙いブログを見てくださる方々へhttp://amoki-san.blog.so-net.ne.jp/2009-09-08-1
コメント投稿者 べに
日時 2012-10-21 14:28
コメント本文 はじめまして。べにと申します。
私は産後うつと診断され、アモキサンを飲んでいます。
服用直後から効果を感じ始め、だいぶ元の自分に近づいてきたように感じます。
高嶋さんのブログ、とっても興味深く読ませていただいています。
置かれている状況は高嶋さんと大分違うのですが、回復の過程について質問させてください。
たまに調子が悪い日がありつつ(いつかのブログで、経験者に言わせると三寒四温で回復していく病気だと書かれていたように)、徐々に回復していく感じですか? それともずーっと上り調子で回復していった感じですか?
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まずは、コメントをありがとうございました>べに様

結論から申し上げます。
僕の場合は、「ずーっと上り調子で回復していった感じ」で回復していきました。

うつ病には、大きく分けて心因性(外部的要因による)と内因性(ホルモンバランスほかの内部的要因による)があると、かつて学びました。
しかし、何が原因であれ、あの恐ろしい「こころの嵐」に見舞われているのでしょうから、心中、お察し申し上げるとともに、一日も早い回復を祈らずにはいられません。

さてご質問のアモキサンの薬効ですが、私には劇的に効きました。
同時に服用したレキソタン(精神安定剤)の効果が、まず現れ、服用するまでどれだけ体に力が入っていたのかがよくわかりました。僕にとってのレキソタンは落ち込んだ気分を底上げしてくれて、アモキサンは、落ち込んだ気分を引き上げるという感覚でした。

おそらくこれは、僕の発症の原因が心因性だったことにあるのではないかと勝手に考えています。外部的要因であればその原因が除去されて、症状のみを解決してくれたら、きっと自分は回復する、という思いもありました。

原因(心因性、内因性)と引き金(発症のエピソード)それともともとの素質ないし性格。
それらの相互作用でこの病気が発症するものだとします。
引き金となるエピソードが大きければ大きいほど、その原因が小さくても発症するのでしょうし、その原因が大きければ単なるエピソードでも発症するのかもしれません。

ご質問の「三寒四温」ですが、僕の場合、劇的に効いたことから、ある種の一進一退ということではなく、一気に、一直線に元に戻っていった、という記憶があります。
おそらくこれは、心因性という一過性の、しかし自分にとってはあまりにも耐えがたいエピソードであったことが原因となり、その結果、劇的に発症し、その原因が一過性のものであるため、受けた傷それじたいを治療しさえすれば、回復するほかない、ということだったのではないかと思っています。

担当医も言っていました。
あまりに劇的に治っていったことは、僕が考えている「原因」を前提とすると、おそらく心因性のものであって、いわばV字回復も不思議ではない、と。逆に、原因が心因性であることを推測させる、と。

つまりは、よくいうその後の再発について、内因性であれば「くしゃみをしても再発する」(もちろんこれは僕の造語ですがw)のではないか。そもそもの原因があってないようなものなのだろうし、発症の引き金となるエピソードを数え上げても、内因性であれば、そもそもの原因がどこにあるのかわからないのだから、再発防止といっても雲をつかむような話になる、と僕は思います。

幸いに僕のケースは内因性ではなかったようなので、再発の心配はしていません。
もっとも、素材としての素質や性格、そして生活習慣(やたらと心が疲れるような生活をする、仕事ばかりやっている)が発症の大きな引き金になりうるとすれば、そこの部分を修正すべきだと思うし、素質それじたいは手に負えない部分であれば、性格や生活習慣、仕事の仕方などをできうる限りで修正していく努力は必要なのでしょう。

発症当時の僕、といってもアモキサンのおかげでかなり回復基調にあったころ、1年間で90冊以上の本を読み、このブログに感想文を書き散らしました。
あの集中力はおそらくアモキサンのせいだと今は思っています(笑)。読むことじたいがリハビリになり、書くことで自分を解放していた。

もともと本を読むのは好きだし、書くのも好きでしたが、あれはちょっとやりすぎだったと今の僕は思っています。
よく「アモキサンはアッパー系」と言われます。
初めて心療内科(精神科)の門を叩き、診察室に入って、訥々と、「今の状態では仕事ができない。なんとかしてほしい」と一生懸命、担当医に話しかけました。

思考や行動が著しく制限されたなかで、ただただ治りたい、それもいますぐに、という気持ちだけを訴えた結果、古典的な薬であるアモキサンの即効性を担当医は選択したようです。

どこかに書きましたが、担当医もいまどきの薬はもとより、漢方薬も処方すると言っていました。しかし、僕には即効性のあるアモキサンを処方してくれた。そして僕には合っていた。その「出会い」というもののありがたさをほんとうに感じるところです。

思い出します。
担当医は、僕が診察室に入ったときから話をする間、診察室を出ていくときまで、じっと僕を観察していました。
約20分から多くて30分。よくある3分しかもパソコンから目を離さない、いまどきの精神科医とは雲泥の差です。二度ほど曜日を代えて診察を受けたところ、とんでもない医者の「診察」を受けたことがあります。

患者の顔を見ない、「変わりないですよね?」と聞くw
二度目のときは、もうコイツには診察料は払わない!と思ったくらいでした。

医者との出会いは、この病気では最も重要な回復のための要素のひとつなのではないかと思うところです。

「産後うつ病」というのは、言葉ではよく聞くし、かつて読んだ本でも記述されていましたが、多くは僕には関係がないものとして、読み飛ばしていました。

内因性であれ心因性であれ、そこになにものにも浸食されない、確固とした、あるいは柳に風と受け流せる強いこころがあったのなら、あるいはとてつもないプレッシャーなどを受けない環境があったのならば、発症することはなかった。

ただしかし、強いこころを持っていない以上、それはそれで致し方のないことだし、逆に、強いこころを持っていなかったおかげで、発症し、幸いに回復し、世の中に対して低く低くなった視線(目線)を持つことができたおかげで、「ありがたい」とか「わがはからいにあらず」とかの物の見方、考え方を新たに獲得することができました。

もし発症しなかったら、僕は従来からの唯我独尊、嫌な自信家のままで過ごしていたことでしょう。
その意味で、この病気に罹患したことは自分にとってよかったのではないかとさえ思う次第です。

さて、産後うつ。
出産というものは、肉体的精神的なストレスを受ける出来事。
さらに、一日中泣いてばかりいる赤ちゃん。最初は二時間もすれば起きてしまう赤ちゃん。昼だろうが夜だろうが、こちらの都合などお構いなしに、泣きわめく。なんて理不尽ななんて暴君。

実は恐ろしいことに、僕は、夜中、子どもが泣いて、家内が起きだして授乳をし始めたことはほとんど記憶になく、つまりは目が覚めなかったわけで、そのすべては家内が背負っていたのです。
まったくもって、家内には申し訳なく思っています。
真夜中、一度だけ娘を腕に抱き、ミルクが温まるのを待っていたことがあります。
結局、泣きやまなかった。
家内が言っていました。「気持ちって伝わるものよ」。

たしかに、僕はそのとき、ものすごくイライラして、おざなりに抱いていただけでしたから。
弱い暴君も弱いだけに、相手の心を読み取るのでしょう。きっと。

それはさておき。
出産の前後というのはホルモンバランスが劇的に変化するものだそうです。
それでなくても育児というものはストレスがたまるもの。家内もかつて言っていたことを思い出します。昼間ひとりで泣きやまない○○ちゃんを抱いているとき、つらいときもあった、と。

こう思ってはいかがでしょうか。
出産を外部的要因のひとつだと仮定します。
たまたま出産がうつ病の引き金になった。そうであれば、その外部的要因がなくなるとともに、心因上のストレスがなくなっていくのだから、きっと回復する、と。

第二子のお子さんができたときには、きっとベテランのママさんになっているのではないでしょうか。

こんな話があります。
長男長女を育てるときの母親は、何もかもが初めてで、だいたいにおいて長男長女というのはしぐさがのろいw。親がなんでもやってしまうからなのでしょう。

小学校の入学式。
いつまでたっても支度ができない子ども。
「早くしなさい。入学式が始まっちゃうよ」

常に常にせかれて、ぐずぐずしている長男長女は、割と緊張する性格が形成されてしまいます。もっとも、基本は夫婦がまだまだ新婚気分が抜けない状態のほんわかムードで育てられますから、基本的にぼ~っとして育つ。
神経質さとぼ~っとした性格が同居する。

それに引き換え、二人目や三人目。
何をすればほめられ、何をすれば叱られるかを上のきょうだいを見て育つ彼ら。非常に合理的な精神が育まれます。
彼らも小学校の入学式を迎えます。
「おかあさん、早く行こうよ」
「何を言ってるのよ、学校の行事なんか、時間どおりには始まらないものよ。ゆっくりでかけてもだいじょうぶよ」

こうして、さらに次男次女たちは、世の中を学んでいくwww

今回の産後うつは、きっと解消されることでしょう。
そして、お二人目のときには、きっとずぶといママさんになっていることでしょう。

もしかして、今がお二人目のお子さんで産後うつになっていたとしたら。。。。。
もはや私の手には負えませんw

もうひとつ申し上げられることがあります。
友人に助けを求めることです。
僕の場合は、複数の友人たちと定期的に酒を飲んでいました。
彼らといるときは、「どこがうつ病なんだ?」と言われていました。

家内は、第一子が10カ月くらいになったときでしょうか。
市の広報をみて、幼稚園に入園するまで、ずっと同じ子育てサークルみたいなのに参加していました。
もっとも、この手のサークルは人間関係が難しいケースもあるようなので、それはそれでストレスの種にもなりかねませんが。。。。

きっと治ります。
そのことだけは心に念じてください。
アモキサンの薬効を信じましょう。
そして、まわりの方々が助けてくださることを祈ります。

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コメント 1

べに

大変丁寧なコメントをいただき、ありがとうございました。とても励まされました。
現在はアモキサンを服用し始めて4週間近くになりました。多少の波がありつつも、元気に家事、育児ができています。
必ず治り、そしてこの薬とお別れできる日がくることを信じて毎日を過ごしていきたいと思います。
ありがとうございました。
by べに (2012-11-06 11:03) 

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