大いなる旅路(星野道夫 著、PHP) [本・雑誌]

星野さんのさまざまなエッセイから、「珠玉のことば」を取り出し、写真と構成した本。
よくできている。

冒頭の写真
荒々しくも神聖な感じさえする、雪を頂いた山々の向こうに、ぽっかりと月がある。
美しすぎる。
白夜なのだろう。
むこうに月のあかりがあるのに、こちら側が明るい。
しかも、夜間飛行。
ブッシュ・パイロットのドンと一緒に飛んだのだろう。

雪の原野を歩くカリブーの隊列の写真
ほんとうに「どこから来てどこへ行くのか」と思う。

雪の原野から、河岸をあるくカリブーの写真
影が長い。早朝なのだろうか。

川岸で休むカリブーの群れの写真
子どもたちは、ほぼ座り込んでいる。
疲れきっているのだろう。
すぐそばに居るのは母親なのだろう。

翼を広げたハクトウワシの写真
着地する直前なのか、飛び立ったところなのか。
雄々しさと気高さを感じさせる。

その右側のページの一文。
         かけがえのない者の死は、
            多くの場合、
      残された者にあるパワーを与えてゆく

そう。
この世界は、星野さんというかけがえのないひとを失った。
少なくとも、私にとってはかけがえのない存在。
しかし、彼が遺してくれた写真とエッセイは、私に限りない穏やかさを与えてくれる。
力強いパワーではない。
もっと深いところで、心を支えてくれるような感じ。

以前、柳田さんが書いていた。
疲れたときに、夜、星野さんの写真集を読むと、心がほどけていく、と。
そう。
彼の文章に触れると、疲れた体と心がほどけていく。

「人間の風景の面白さとは、私たちの人生がある共通する一点で同じ土俵に立っているからだろう。 一点とは、たった一度の人生をより良く生きたいという願いであり、面白さとはそこから分かれてゆく人間の生き方の無限の多様性である。」

そのとおりだと思う。
「たった一度の人生をより良く生きたい」
みな、そう思って生きているのだ、と思いたい。。。。


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